本当の自分って? 行動経済学の視点から

ちょっと違った視点から、自分自身を観察するときに知っておくとおもしろいな〜と思ったことがあるのでノート。「欠乏の行動経済学」※著者センディル・ムッライナタン教授(ハーバード大学経済学部)エルダー・シャフィール教授(プリンストン大学心理学部)という書籍で出会った言葉「トンネリング」について。

僕たちは生まれた時から、何かに追われている感覚を持つ。間違いなく追いかけてくるものは無いのだけれど。羊水から出て独り立ちした瞬間からか、社会構造が生む他者比較からなのか、常に何か「自分には足りない」感覚を持っている。完全に満たされる状態の人はそんなに多くないと思う。いつも「自分には〜が無い」ので、それを埋める為に、自分自身をドライブしている。

時間が無い、自分のアウトプットはこれじゃ足りない、だがら頑張る、そして圧倒的な成果を残す。足りなさをエンジンにして、「集中して現実にトライ」していく。それが現実社会の時にはポジティブに働くことがある。それを「集中ボーナス」と言ったりする。この感覚はとても共感できて、仕事でも締切り1週間前に余裕を持って資料をつくる場合と、1時間しか無いので、集中してアウトプットが高まることは経験したことがあると思う。(ほんとによくある笑)

その旨味がある一方、これがネガティブに働くときがある。それは集中している分、他のことを考えず捨てている状態を無意識に産み出している時だ。トンネルに入るときに、トンネルの中は鮮明に見えるが、それ以外のところは見えていない。人は物事を観たいように観るので、集中すればするほど他を排除していく。これは外部環境が〜とか、都合が〜〜で〜とか色々言い訳あると思うが、排除しているのは自分自身だ。集中し、短期的には結果なんとかうまくいっているが、実はその周辺に大事なことを捨てた上での成果だったりする。この状態に自分が自覚的にならずいる状態を「トンネリング」という。

「集中ボーナス」の旨味と「トンネリング」によって起こす全体観の欠如、他者の排除という代償。これは日常生活を振り返ってもよく起こっているだろう。

これを、DeepDiveに引き戻してみると。今回は潜って、社会を通して自分を見つめるプログラムだ。トンネリングがこれにも当てはまるとしたら、自分自身を見つめて、「本当の自分自身」を見つけるのだ!と息巻いて、集中して頭で理解しにいこうとすればするほど、色んな自分を排除していってしまう。そもそも、人間は死ぬために生きていたり、スターウォーズにあるダークサイドとライトサイドがあるみたいに、矛盾した生き物だ。便宜上「本当の自分」という言葉を使うが、そんな答え(定義)があったらみんな知りたいし、掴みたい。本当の自分なんて、あってない。だからもう少し楽に、自分の頭が、心が、身体が、何に反応して、どんなときに身体が火照るのか・心臓がバクバクするのか。スラック(余白)を大事にしながら過ごしてもらえる時間になれば嬉しい。それは、自分自身を見つめるのもそうだし、社会を見つめるのも同じ構造だと思う。


欲しい答えは無い。だから人間は面白いし、可能性に溢れているのだと思う。潜って掴む「モノ」よりも、潜っている時に見えるいろんな自分がなんとな〜く身体に残ったら嬉しいな。

Naoki Oya

Deep Dive

「潜水型ラーニングジャーニー Deep Dive」の情報発信ページです。

0コメント

  • 1000 / 1000